節税対策

一棟アパートを売却した時の税金はいくら?計算例付きで徹底解説【2026年版】

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「一棟アパートを売却したいけれど、税金がいくらかかるのかが分からない」「売却額から手元にいくら残るのかを把握してから判断したい」——そんな不動産オーナー様に向けて、本記事では一棟アパートを売却した時の税金の種類・計算方法・具体的なシミュレーション・節税のポイントを、2026年時点の制度に基づいて分かりやすく解説します。

一棟アパート売却時にかかる税金は主に4種類

一棟アパートを売却したときに発生する税金は、ひとつではありません。大きく分けると以下の4種類があります。

税金課税対象タイミング
① 譲渡所得税(所得税+住民税+復興特別所得税)売却益売却翌年の確定申告
② 印紙税売買契約書契約時
③ 登録免許税抵当権抹消登記決済時
④ 消費税建物価格(課税事業者のみ)決済時

もっとも金額が大きく、オーナー様の手取りを左右するのは①譲渡所得税です。以下、それぞれを順番に見ていきます。

① 譲渡所得税(もっとも影響が大きい)

売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた「譲渡所得」に対して課税される税金です。所得税・復興特別所得税・住民税の3つを合算したものを指し、所有期間によって税率が大きく変わります(後述)。

② 印紙税

不動産売買契約書に貼付する収入印紙代です。契約金額によって税額が決まります。

契約金額本則税額軽減後税額
1,000万円超〜5,000万円以下20,000円10,000円
5,000万円超〜1億円以下60,000円30,000円
1億円超〜5億円以下100,000円60,000円
5億円超〜10億円以下200,000円160,000円

※不動産売買契約書の印紙税は軽減措置の対象で、2027年3月31日まで軽減税率が適用される予定です(最新情報は国税庁サイトでご確認ください)。

③ 登録免許税(抵当権抹消登記)

売却する物件に金融機関の抵当権が設定されている場合、決済時に抵当権を抹消する必要があります。登録免許税は不動産1個あたり1,000円(土地・建物それぞれにかかる)で、金額自体は大きくありません。

④ 消費税(建物分のみ・課税事業者のみ)

個人が投資用アパートを売却した場合、土地は非課税、建物は「課税事業者に該当する場合のみ」課税対象となります。法人所有や、前々年の課税売上高が1,000万円を超える個人オーナー様は、建物価格に消費税が課される点にご注意ください。

譲渡所得税の計算方法

譲渡所得税は「売却価格 × 税率」ではなく、譲渡所得(利益)× 税率で計算されます。

譲渡所得の計算式

譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)
譲渡所得税 = 譲渡所得 × 税率

取得費・譲渡費用に含められるもの

税金を正しく計算するためには、「取得費」と「譲渡費用」にどこまで含められるかを把握することが重要です。

取得費に含められるもの

  • 物件購入代金(建物は減価償却後の簿価)
  • 購入時の仲介手数料
  • 購入時の登録免許税・司法書士報酬
  • 購入時の不動産取得税
  • 購入時の印紙代

譲渡費用に含められるもの

  • 売却時の仲介手数料
  • 売却時の印紙代
  • 売却のために要した測量費用・解体費用
  • 立退料(賃借人に支払った場合)

【減価償却に注意】建物の取得費は、保有期間中に計上してきた減価償却費を差し引いた「未償却残高」で計算します。つまり、保有期間が長くなるほど建物の取得費は小さくなり、結果として譲渡所得(利益)が大きく見える点に注意が必要です。

短期譲渡と長期譲渡で税率が大きく変わる

譲渡所得税の税率は、所有期間によって以下のように区分されます。

区分所有期間所得税復興特別所得税住民税合計
短期譲渡5年以下30%0.63%9%39.63%
長期譲渡5年超15%0.315%5%20.315%

※復興特別所得税は2013年〜2037年まで、各年の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて納付する制度です。

所有期間がわずか1日違うだけで税率が約2倍になる、というインパクトの大きいルールです。

所有期間は「売却した年の1月1日」で判定する

ここが多くのオーナー様が誤解しやすいポイントです。所有期間は「売却した日の前日までの期間」ではなく、「売却した年の1月1日時点での所有期間」で判定されます。

例1:2020年8月1日に取得、2026年6月に売却するケース

  • 実際の保有日数:約5年10か月(=5年超)
  • 税務上の所有期間:2026年1月1日時点で5年5か月(=5年超:長期譲渡)

例2:2021年3月1日に取得、2026年6月に売却するケース

  • 実際の保有日数:約5年3か月(=5年超)
  • 税務上の所有期間:2026年1月1日時点で4年10か月(=5年以下:短期譲渡)

後者のケースで売り急ぐと、本来20.315%で済む税金が39.63%と約2倍になってしまう可能性があります。売却時期は「売却した年の1月1日時点で5年超」になるよう、暦を必ず確認してください。

電卓とアパート図面と確定申告書が並ぶデスクのイメージ

計算例で見る税金シミュレーション

具体的な数字で税額のイメージを掴んでいただけるよう、2つのケースで計算してみます。

ケースA:長期譲渡(所有10年で売却)

項目金額
売却価格1億2,000万円
取得価格(建物+土地)1億円
建物の減価償却累計1,200万円
取得費(購入諸費用含む)8,900万円
譲渡費用(仲介手数料等)420万円
譲渡所得2,680万円
税率(長期)20.315%
譲渡所得税(概算)約544万円
手取り(売却価格−譲渡費用−税金、ローン残債除く)約1億1,036万円

ケースB:短期譲渡(所有4年で売却)

同じ条件で所有期間が4年(短期)だった場合、税率が39.63%になるため:

項目金額
譲渡所得2,680万円
税率(短期)39.63%
譲渡所得税(概算)約1,062万円
手取り約1億518万円

同じ売却価格・同じ利益でも、所有期間によって税金の差は約518万円になります。売却のタイミングが手取り額を大きく左右することがご理解いただけるかと思います。

※上記は一般的な計算例であり、実際の税額は物件の個別条件・確定申告内容によって変動します。正確な試算は税理士または不動産会社にご相談ください。

一棟アパートを見上げる50代男性オーナーの後ろ姿

税金を抑えるための4つのポイント

ポイント①:5年超(税務上)保有してから売却する

前述のとおり、所有期間が「売却した年の1月1日時点で5年超」になるよう売却時期を調整するだけで、税率が約半分になります。年末の売却を検討している場合は、翌年1月以降にずらせないかを必ず確認しましょう。

ポイント②:取得費・譲渡費用の領収書を揃える

購入時の諸費用(仲介手数料・登記費用・不動産取得税など)は取得費として譲渡所得から控除できます。購入時の書類を保管していないと譲渡所得が過大に計算され、結果として税金が増えてしまうケースが少なくありません。売却を検討し始めたら、まずは購入時の書類を探しておきましょう。

取得時の書類がまったく残っていない場合は、売却価格の5%を「概算取得費」として計算する方法もありますが、実際の取得費より低くなりがちで不利になる傾向があります。

ポイント③:減価償却の影響を把握する

長期間保有した物件ほど減価償却が進み、建物の簿価(未償却残高)は小さくなります。結果として譲渡所得(利益)が大きく計算され、「売却価格は高く売れたのに手取りが想定より少ない」という事態になりがちです。売却前に税理士とともに残存簿価のシミュレーションを行うことを強くおすすめします。

ポイント④:法人所有なら決算期との兼ね合いも重要

法人所有の収益物件を売却する場合、譲渡益は法人税の課税所得に合算されます。決算月・他の損益との通算・繰越欠損金の活用を踏まえて売却時期を決めることで、トータルの税負担を大きく減らせるケースがあります。

法人税対策の詳細は法人税対策の詳細資料はこちらをご覧ください。

よくある間違い・注意点

「3,000万円特別控除」は投資用アパートには原則使えない

マイホーム売却でよく話題になる「3,000万円特別控除」は、居住用財産にのみ適用される特例です。投資用の一棟アパートを売却した場合は原則対象外なので、混同しないようにご注意ください。

確定申告は翌年の2月16日〜3月15日

譲渡所得が発生した場合、売却した年の翌年に確定申告が必要です。会社員のオーナー様で普段確定申告をしていない方も、売却した年は必ず申告が必要になりますのでご注意ください。

ローン残債の有無と税金は別の話

「ローン残債があるから税金は少ないはず」と誤解される方がいらっしゃいますが、譲渡所得税はローン残債とは無関係に計算されます。ローン完済後の手残りと、税金の支払いは別物として試算してください。

まとめ

本記事のポイントを整理します。

  • 一棟アパート売却時の税金は主に4種類。もっとも大きいのは譲渡所得税。
  • 譲渡所得税の税率は所有期間で2倍近く変わる(短期39.63% / 長期20.315%)。
  • 所有期間の判定は「売却した年の1月1日時点」。売却時期の1〜2か月のズレで税率が変わる可能性がある。
  • 取得費・譲渡費用の領収書を揃えることで譲渡所得を正しく計算でき、結果として節税につながる。
  • 減価償却の影響で保有期間が長いほど簿価が下がり、譲渡所得は膨らみがち。売却前の事前シミュレーションが重要。
  • 法人所有の場合は決算期との兼ね合いを考慮することで、トータルの税負担を抑えられるケースがある。

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※本記事は2026年4月時点の制度・税率に基づいて作成しています。税制は改正されることがあるため、実際の売却・確定申告の際は最新情報を国税庁サイト等でご確認いただくか、税理士にご相談ください。