収益物件を売却したら手取りはいくら?シミュレーション方法を徹底解説【2026年版】

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「収益物件を売却したら、実際に手元に残るお金はいくら?」——売却価格がそのまま入ってくるわけではないので、ローン残債・税金・諸費用を差し引いた手取り額を事前に把握しておくことが重要です。本記事では、収益物件売却の手取り計算の仕組み、実際のシミュレーション例、手取りを増やすためのポイントまでを2026年時点の制度に基づいて解説します。

収益物件売却の「手取り」は何で決まる?

売却価格(=成約価格)と手取り額はまったく別物です。オーナー様の口座に最終的に残るのは、売却価格から「ローン残債」「税金」「諸費用」を全て差し引いた金額になります。

基本の計算式

手取り額 = 売却価格 −(ローン残債 + 諸費用 + 譲渡所得税)

この3つの引き算項目をそれぞれ正確に把握することが、手取り額を読み違えないコツです。

「売却価格」と「手取り額」の差はどれくらい?

一般的な目安として、売却価格の20〜40%程度が手取り額との差額になることが多いです。ローン残債の比率や所有期間によっては、手取りが売却価格の半分以下になるケースも珍しくありません。

「1億円で売れたのに手取りは2,000万円しかなかった」という事態を避けるためには、売却前のシミュレーションが不可欠です。

手取り計算に必要な6つの要素

手取り額を正確に算出するには、以下の6項目を順番に確認していきます。

① 売却価格(成約価格)

まず必要なのは現実的な売却価格です。不動産会社の査定額は会社によって差が出やすいため、複数社の査定を取って相場を把握することをおすすめします。査定額の根拠(収益還元法・取引事例比較法など)も聞いておくと、適正価格かどうかの判断がしやすくなります。

② ローン残債

売却時点のローン残債を金融機関から取り寄せます。元利均等返済の場合、返済初期はほとんどが利息のため残債の減りが遅い点に注意が必要です。

抵当権が設定されている収益物件を売却する場合、決済時に一括返済するのが原則です。繰上返済手数料(数千円〜数万円)も忘れずに計上しましょう。

③ 仲介手数料(不動産会社への報酬)

宅建業法上の上限は以下の通りです(売却価格が400万円超の場合)。

仲介手数料(上限)= 売却価格 × 3% + 6万円 + 消費税

売却価格別の仲介手数料(目安)

売却価格仲介手数料(上限・税込)
5,000万円約171万円
1億円約336万円
3億円約996万円
5億円約1,656万円

※上限額のため、交渉次第で下げられる可能性もあります。

④ 印紙税・登録免許税

  • 印紙税: 売買契約書に貼付(1億円超〜5億円以下で軽減後6万円)
  • 登録免許税: 抵当権抹消登記で不動産1個あたり1,000円

いずれも仲介手数料や税金と比べれば小さい金額ですが、見落とさずに計上しましょう。

⑤ 譲渡所得税・住民税

手取り計算で最も影響が大きいのがこの譲渡所得税です。所有期間5年超で20.315%、5年以下で39.63%と、約2倍の差が出ます。

譲渡所得税 = 譲渡所得 ×(20.315% または 39.63%)
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)

譲渡所得税の詳細な計算方法は、関連記事一棟アパートを売却した時の税金はいくら?計算例付きで徹底解説【2026年版】で解説しています。

⑥ その他諸経費

  • 解体費用(更地にして売却する場合)
  • 測量費用(境界確定が必要な場合)
  • 立退料(賃借人に退去してもらう場合)
  • ハウスクリーニング代(空室部分のみ)

物件の状況によって必要額は大きく変動します。事前に不動産会社と相談して見積もりを取っておきましょう。

手取り金額シミュレーションの電卓と収益物件売却書類のイメージ


実際の数字で見る手取りシミュレーション

具体的な数字でイメージを掴んでいただけるよう、3つのケースで計算してみます。

前提条件(共通)

  • 物件種別: 木造一棟アパート
  • 売却価格: 1億円
  • 取得費(購入諸費用含む、減価償却後): 7,500万円
  • 仲介手数料: 約336万円(上限)
  • 印紙税・登録免許税等: 約7万円
  • その他諸経費: 約30万円

ケースA:長期譲渡+ローン残債5,000万円(所有10年)

項目金額
売却価格1億円
ローン残債5,000万円
仲介手数料336万円
印紙税・登録免許税7万円
その他諸経費30万円
譲渡所得(1億円 − 7,500万円 − 373万円)2,127万円
譲渡所得税(20.315%)約432万円
手取り額約4,195万円

手取りは売却価格の約42%。長期譲渡の税率でもローン残債が大きいため、手元に残る金額は想像より少なくなります。

ケースB:短期譲渡+ローン残債5,000万円(所有4年)

項目金額
売却価格1億円
ローン残債5,000万円
諸費用合計373万円
譲渡所得2,127万円
譲渡所得税(39.63%)約843万円
手取り額約3,784万円

ケースAと比べて税金が約411万円増え、手取りが大きく減少しました。所有期間の1年の差が、ここまで手取りに影響するという典型例です。

ケースC:長期譲渡+ローン完済済み(所有15年)

項目金額
売却価格1億円
ローン残債0円
諸費用合計373万円
取得費(減価償却進行)6,000万円
譲渡所得3,627万円
譲渡所得税(20.315%)約737万円
手取り額約8,890万円

ローン完済済みの場合は手取りが売却価格の約89%まで伸びます。ただし減価償却が進んで取得費が小さくなっているため、譲渡所得(利益)は大きく計算されます。長期保有で減価償却が終わった物件は、売却時の税負担が想定より大きくなりがちな点に注意が必要です。

※上記シミュレーションは一般的な計算例です。実際の手取りは物件個別の条件や確定申告内容で変動します。正確な試算は税理士または不動産会社にご相談ください。

不動産売買契約書・鍵・印鑑が並ぶ収益物件売却のクロージングイメージ


手取りを最大化する4つのポイント

ポイント①:売却時期を「5年超」で計画する

譲渡所得税の税率は、所有期間が「売却した年の1月1日時点で5年超」かどうかで20.315% vs 39.63%と約2倍変わります。1月1日判定のため、4年目の終わりに売却を急ぐと思わぬ短期譲渡扱いになりがちです。売却検討時は必ず「年をまたげるか」を確認してください。

ポイント②:取得費の領収書・明細を揃える

取得費が大きいほど譲渡所得(課税対象)は小さくなるため、購入時の仲介手数料・登記費用・不動産取得税などの諸費用を取得費に加算することで節税になります。購入時の書類が手元にない場合は「概算取得費(売却価格の5%)」で代替できますが、実費の方が有利なケースが多いです。

ポイント③:売却前の大規模修繕は慎重に判断

「売れやすくするため」に大規模修繕を行ってから売却するケースがありますが、修繕費を回収できないまま売却することもあるため慎重な判断が必要です。修繕費の一部は譲渡費用に計上できますが、すべてが認められるわけではありません。税理士に事前相談することをおすすめします。

ポイント④:複数社査定で売却価格を上げる

査定額は不動産会社によって差が出やすく、100万円〜数千万円の開きが出ることも珍しくありません。売却価格を1%引き上げるだけで手取り額も比例して増えるため、複数社から査定を取る手間は確実にペイします。

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手取りシミュレーション時の注意点

売却翌年の確定申告を忘れずに

譲渡所得が発生した場合、売却した翌年の2月16日〜3月15日に確定申告が必要です。会社員で普段申告していない方も、売却した年は必須なのでご注意ください。納税資金も手取りから引いて「実質の手取り」として把握しておきましょう。

ローンの繰上返済手数料

金融機関によって異なりますが、数千円〜数万円程度かかるのが一般的です。金額は小さいものの、忘れがちな項目なのでシミュレーションに必ず入れてください。

消費税(課税事業者のみ)

法人所有または前々年の課税売上高が1,000万円を超える個人オーナー様は、建物価格に消費税が課されます。土地部分は非課税ですが、建物価格の10%が課税されるのは大きな影響です。

ローン残債が売却価格を上回るケース(オーバーローン)

残債が売却価格を上回っていると、売却時に差額を自己資金で補填する必要があります。または、金融機関と相談して「任意売却」という形で処理することもあります。この場合は手取りがマイナスになる可能性があるため、早期に専門家へご相談ください。

まとめ

本記事のポイントを整理します。

  • 収益物件売却の手取りは「売却価格 −(ローン残債 + 諸費用 + 譲渡所得税)」で計算される
  • 売却価格と手取り額の差は20〜40%が一般的、ローン残債比率次第では半分以下になるケースもある
  • 手取り計算に必要な6項目:①売却価格、②ローン残債、③仲介手数料、④印紙税・登録免許税、⑤譲渡所得税、⑥その他諸経費
  • 所有期間が「売却した年の1月1日時点で5年超」かどうかで税率は約2倍変わる(20.315% vs 39.63%)
  • 複数社査定で売却価格を引き上げ、取得費記録を揃えることで手取りを最大化できる
  • 売却翌年の確定申告は必須。納税資金も手取りから引いて考えておく

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※本記事は2026年4月時点の制度・税率に基づいて作成しています。税制は改正されることがあるため、実際の売却・確定申告の際は最新情報を国税庁サイト等でご確認いただくか、税理士にご相談ください。