収益物件売却の仲介手数料はいくら?計算方法と安くする方法【2026年版】
「収益物件を売却する時、仲介手数料はいくらかかるのだろう?」——不動産会社に支払う仲介手数料は、売却コストの中で最も大きなウェイトを占めます。本記事では、仲介手数料の計算方法(速算式・段階式)、売却価格別の早見表、そして手数料を安くする5つの方法まで、2026年時点の宅建業法に基づいて分かりやすく解説します。2024年7月の法改正(800万円以下の上限引き上げ)にも対応した最新版です。
仲介手数料とは?基本的な仕組み
仲介手数料の定義
仲介手数料とは、不動産の売買を仲介(媒介)した不動産会社に支払う成功報酬です。つまり売買が成立しなければ原則として発生しない点が最大のポイントです。
宅地建物取引業法(宅建業法)で上限額が定められており、不動産会社がそれを超える手数料を請求することは違法となります。
誰が誰に払うのか
売主は売主側の仲介会社に、買主は買主側の仲介会社にそれぞれ手数料を支払います。一棟収益物件の取引では、売主側と買主側で別々の不動産会社がつくケース(片手取引)が多いですが、1社が売主・買主の両方を仲介するケース(両手取引)もあります。
両手取引と片手取引の違い
| 取引形態 | 仲介会社の数 | 売主の手数料負担 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 片手取引 | 2社(売主側+買主側) | 売主側仲介会社に支払い | 最も一般的。利益相反が起きにくい |
| 両手取引 | 1社(売主・買主両方を仲介) | 同じ1社に支払い | 1社が双方から手数料を受領。交渉が有利になる場合もある |
いずれの形態でも、売主が支払う仲介手数料の上限額は同じです。両手取引だからといって売主の負担が増えることはありません。
仲介手数料の計算方法(2026年最新)
速算式(売却価格が400万円超の場合)
収益物件の売却では、ほとんどのケースで売却価格が400万円を超えるため、以下の速算式で計算できます。
仲介手数料(上限)= 売却価格 × 3% + 6万円 + 消費税(10%)
例えば、売却価格1億円の場合:
1億円 × 3% + 6万円 = 306万円 → 306万円 × 1.1(消費税) = 336.6万円(税込)
本来の段階式計算
実は「3% + 6万円」は速算のための便宜的な式で、正式には以下の3段階で計算されます。
| 売却価格の区分 | 手数料率 |
|---|---|
| 200万円以下の部分 | 5% |
| 200万円超〜400万円以下の部分 | 4% |
| 400万円超の部分 | 3% |
例えば売却価格1億円の場合:200万円 × 5% + 200万円 × 4% + 9,600万円 × 3% = 10万 + 8万 + 288万 = 306万円(速算式と一致)
売却価格別の早見表
収益物件でよくある価格帯の仲介手数料(上限)をまとめました。
| 売却価格 | 手数料(税抜) | 手数料(税込10%) | 売却価格に対する比率 |
|---|---|---|---|
| 3,000万円 | 96万円 | 105.6万円 | 3.52% |
| 5,000万円 | 156万円 | 171.6万円 | 3.43% |
| 8,000万円 | 246万円 | 270.6万円 | 3.38% |
| 1億円 | 306万円 | 336.6万円 | 3.37% |
| 1.5億円 | 456万円 | 501.6万円 | 3.34% |
| 2億円 | 606万円 | 666.6万円 | 3.33% |
| 3億円 | 906万円 | 996.6万円 | 3.32% |
| 5億円 | 1,506万円 | 1,656.6万円 | 3.31% |
※上記はすべて法定上限額です。実際にはこの金額以下で合意することも可能です。
2024年7月改正:800万円以下の物件は上限33万円に
2024年7月1日、宅建業法の報酬規定が改正され、800万円以下の低額物件については仲介手数料の上限が変更されました。
| 区分 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 対象 | 400万円以下の物件 | 800万円以下の物件 |
| 売主側の上限 | 18万円+税(19.8万円) | 30万円+税(33万円) |
| 買主側の上限 | 従来の計算式 | 30万円+税(33万円) |
この改正は主に空き家流通促進を目的としたもので、一棟収益物件のような高額物件には実質的に影響しません。ただし、投資用ワンルームマンションや地方の低額アパートなど、800万円以下の物件を扱う場合はこの改正点を知っておく必要があります。
仲介手数料を安くする5つの方法
法定上限額はあくまで「上限」です。以下の方法で手数料を交渉・軽減できる可能性があります。
① 直接交渉する
最もシンプルな方法です。「手数料を少し下げていただけませんか」と率直に伝えることで、1〜2割の値引きに応じてもらえるケースは実務上少なくありません。
ただし、強引な値引き交渉は不動産会社のモチベーション低下につながり、販売活動の優先順位が下がるリスクもあるため、バランスが重要です。
② 手数料割引を掲げている会社を選ぶ
「仲介手数料半額」「手数料1%」など、上限より低い手数料を売りにしている不動産会社もあります。ただし以下の点に注意してください:
- 販売力・買主ネットワークは十分か?(手数料を削って広告費も削っている場合がある)
- サービスの範囲は上限手数料の会社と同等か?
- なぜ安いのかの根拠を確認する
③ 専任媒介にすることで交渉する
一般媒介ではなく専任媒介・専属専任媒介を提示すると、不動産会社にとっては「確実に自社で取引できる」メリットが大きいため、手数料の値引き交渉に応じやすくなる傾向があります。
「専任媒介にするので、手数料を○%にしていただけませんか」という形は、売主・不動産会社双方にとってWin-Winの交渉です。
④ リピーター割引・紹介割引を活用する
過去に取引実績のある不動産会社であれば、リピーター割引が適用されるケースがあります。また、既存顧客からの紹介で手数料が割引になることもあるので、知人・同業者のネットワークも活用しましょう。
⑤ 「手数料無料」の会社には慎重に
「仲介手数料無料」を謳う会社の場合、以下のビジネスモデルである可能性があります:
- 両手取引を前提として、買主からの手数料で利益を確保している
- 別途「コンサルティング料」「広告費」などの名目で費用を請求している
- 自社買取(仲介ではなく買い取り)で、売却価格自体が相場より低い
無料だからといって飛びつくのではなく、総コスト(手数料+売却価格の差異)で比較することが重要です。
仲介手数料の支払いタイミングと注意点
支払いは通常2回に分割
一般的な慣行では、仲介手数料は以下のタイミングで2回に分けて支払います。
| 支払い回 | タイミング | 金額の目安 |
|---|---|---|
| 第1回 | 売買契約締結時 | 手数料の50% |
| 第2回 | 決済・引渡し時 | 手数料の残り50% |
ただし、契約時に一括請求する会社もありますし、決済時に全額支払う形で合意する場合もあります。支払いスケジュールは媒介契約締結時に確認しておきましょう。
仲介手数料に「含まれる」業務と「含まれない」業務
| 含まれる業務 | 含まれない業務(別途費用が必要) |
|---|---|
| 物件の広告活動 | 測量費用 |
| REINSへの登録 | 建物インスペクション費用 |
| 内見の案内 | 残置物撤去費用 |
| 価格交渉 | 登記費用(司法書士報酬含む) |
| 重要事項説明の作成・説明 | ハウスクリーニング費用 |
| 売買契約書の作成 | 確定申告の税理士費用 |
売却不成立の場合は原則発生しない
仲介手数料は成功報酬のため、売買が成立しなければ原則として支払い義務は発生しません。ただし媒介契約に特別な条項が含まれている場合もあるため、媒介契約書の内容を事前に確認しておくことが重要です。
よくある質問
Q1: 仲介手数料は値引き交渉しても大丈夫?
大丈夫です。法定上限は「これ以上請求してはならない」という上限であり、下限は法律上定められていません。ただし、極端な値引きは不動産会社のサービス品質に影響する可能性があるため、バランスを意識しましょう。
Q2: 仲介手数料に消費税はかかる?
かかります。不動産会社が提供する仲介サービスは消費税の課税対象です。手数料の見積もりが「税込」か「税抜」かを必ず確認してください。上記の早見表では税込・税抜の両方を記載しています。
Q3: 手取り計算では仲介手数料をどこに入れる?
仲介手数料は譲渡費用として譲渡所得の計算時に差し引くことができます。つまり、手数料を支払うと譲渡所得(課税対象)が減少し、結果的に譲渡所得税が軽減されます。手取り額の詳細なシミュレーション方法は関連記事収益物件を売却したら手取りはいくら?シミュレーション方法を徹底解説【2026年版】をご覧ください。
まとめ
本記事のポイントを整理します。
- 仲介手数料は不動産会社への成功報酬。売買が成立しなければ原則発生しない
- 速算式は「売却価格 × 3% + 6万円 + 消費税」(400万円超の場合)
- 売却価格1億円なら手数料は約336.6万円(税込)が上限
- 2024年7月改正で800万円以下の物件は上限33万円に引き上げ(一棟物件には実質影響なし)
- 手数料を安くする方法は直接交渉・割引会社・専任媒介交換条件・リピーター/紹介割引の4つ
- 「手数料無料」には両手取引前提・別途費用・自社買取(低価格)のリスクがある
- 手数料は譲渡費用として控除可能(節税効果あり)
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※本記事は2026年4月時点の宅地建物取引業法に基づいて作成しています。法令は改正されることがあるため、実際の売却にあたっては不動産会社にご確認ください。