サブリース契約中の一棟物件は売却できる?解約の手順と売却価格への影響【2026年版】

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「サブリース契約が付いたままで、一棟物件は売れるのだろうか?」——サブリース中の収益物件を売却したいと考えたとき、多くのオーナー様がこの疑問にぶつかります。結論から言えば、サブリース契約が付いたままでも売却は可能です。ただし、契約を解約してから売る場合と、付けたまま売る場合では売却価格に最大20%もの差が生じることがあります。本記事では、サブリース付き物件の売却方法を「解約して売る」「付けたまま売る」の2パターンに分けて、それぞれのメリット・デメリット、解約の具体的な手順と違約金の相場、売却価格を最大化するポイントを解説します。

サブリース契約の基本と売却時の法的な壁

サブリース契約の仕組み

サブリース(一括借上げ)とは、オーナーが所有する物件をサブリース会社が一括で借り上げ、サブリース会社が入居者に転貸する仕組みです。オーナーは空室の有無にかかわらず、サブリース会社から一定の保証賃料を受け取ります。

項目通常の賃貸管理サブリース(一括借上げ)
入居者との契約オーナー ⇔ 入居者サブリース会社 ⇔ 入居者
空室リスクオーナーが負担サブリース会社が負担
賃料収入満室時は高い保証賃料(相場の80〜90%)
管理の手間管理委託 or 自主管理ほぼゼロ

売却時にぶつかる「借地借家法」の壁

サブリース契約はオーナーが貸主、サブリース会社が借主という関係です。借地借家法は借主(=サブリース会社)を手厚く保護しており、オーナー側からの一方的な解約は簡単にはできません。

契約書に「6ヶ月前の通知で解約可能」と書かれていても、借地借家法第28条により正当事由が必要とされています。「売却したいから」「利回りを上げたいから」という理由だけでは、正当事由として認められないのが実情です。

売却の2つの選択肢|解約して売る vs 付けたまま売る

選択肢① サブリースを解約してから売却する

サブリース契約を解約し、通常の賃貸管理物件として売却する方法です。

メリット:

  • サブリース手数料(賃料の10〜20%)がなくなるため、実質利回りが上がり、売却価格が高くなる
  • 買主の選択肢が広がり、融資が付きやすくなる
  • サブリース会社の賃料減額リスクが買主に引き継がれない

デメリット:

  • 解約に違約金がかかる(後述)
  • 正当事由が認められない場合、解約自体が困難
  • 解約後は空室リスクをオーナーが負担する

選択肢② サブリース付きのまま売却する(オーナーチェンジ)

サブリース契約を維持したまま、買主にオーナーの地位を引き継ぐ方法です。

メリット:

  • 解約の手間・違約金が不要
  • 保証賃料が継続されるため、買主にとって安定収入の魅力がある

デメリット:

  • サブリース手数料分だけ実質利回りが低くなり、売却価格が下がる
  • オーナーチェンジ時にサブリース会社が保証賃料の再査定(減額)を求めてくるケースがある
  • サブリース付き物件を敬遠する投資家が多く、買主が見つかりにくい

売却価格シミュレーション

条件: 一棟アパート10室、各室賃料7万円/月、還元利回り7%

項目サブリース解約後サブリース付き(手数料15%)
年間賃料収入840万円714万円(840万×85%)
NOI(経費率25%想定)630万円536万円
還元利回り7%での査定額約9,000万円約7,657万円
差額▲約1,343万円

サブリースを解約してから売却するだけで、査定額が約1,300万円以上アップする可能性があります。この差額を違約金と比較して判断することが重要です。売却時の手取り計算については「収益物件の売却手取りはいくら?計算方法を解説」も参考になります。

サブリース契約を解約する方法と違約金の相場

解約が認められる3つのパターン

パターン① 合意解約(最も現実的)

サブリース会社と交渉し、双方合意の上で契約を終了する方法です。違約金の支払いを条件に応じてもらえるケースが多く、実務上はこの方法が最も一般的です。

パターン② 正当事由による解約

借地借家法第28条に基づき、正当事由を主張して解約する方法です。認められる事由の例:

  • 建物の老朽化により取り壊しが必要
  • ローン返済困難で売却がやむを得ない
  • オーナー自身が物件を使用する必要がある

ただし、「高く売りたい」「利回りを改善したい」は正当事由として認められません。

パターン③ 契約期間満了による終了

定期借家契約(定期建物賃貸借)の場合は、期間満了で終了させることが可能です。ただし、サブリース契約の多くは普通借家契約のため、この方法が使えないケースがほとんどです。

違約金の相場

違約金の水準目安
低い保証賃料の3ヶ月分
一般的保証賃料の6ヶ月分
高い保証賃料の12ヶ月分

前述のシミュレーション(保証賃料59.5万円/月)で違約金6ヶ月分の場合、違約金は約357万円。売却価格の差額(約1,343万円)と比較すれば、解約して売却する方が約986万円有利になります。

ただし、違約金の金額は契約書の内容によって大きく異なるため、まず契約書の解約条項を確認することが第一歩です。

サブリース付き物件を高く売却するためのポイント

ポイント① まず契約書の解約条項を確認する

サブリース契約書の「中途解約」「契約解除」の条項を確認し、解約通知の期間・違約金の金額・解約の条件を把握します。ここが不明確な場合は、不動産に詳しい弁護士への相談をお勧めします。

ポイント② 解約と売却のシミュレーションを行う

「解約して売った場合の手取り」と「付けたまま売った場合の手取り」を比較します。違約金を払ってでも解約した方が有利かどうかは、物件ごとに異なります。売却全体の流れについては「一棟アパート売却の流れを5ステップで解説」をご覧ください。

ポイント③ 一棟収益物件に強い仲介会社に相談する

サブリース付き物件の売却は、通常の売却以上に専門知識が求められます。サブリース契約の扱いに慣れた仲介会社であれば、解約交渉のアドバイスや、サブリース付きでも購入意欲のある投資家への紹介が可能です。査定方法の違いについては「一棟マンションの査定方法3つを解説」もあわせてご確認ください。

ポイント④ 解約後の空室リスクに備える

サブリースを解約すると、空室リスクはオーナーに戻ります。解約後に空室が多い状態で売りに出すと、査定額が下がる可能性があります。解約と同時に管理会社への切り替え・入居者募集を進め、できるだけ満室に近い状態で売却に臨むことが重要です。空室がある場合の対策は「空室がある一棟アパートは売れる?売却前にやるべきこと」で詳しく解説しています。

まとめ

サブリース契約中の一棟物件は売却できます。ただし、「解約して売る」か「付けたまま売る」かで売却価格に大きな差が出ます。

判断のポイント:

  • 違約金を払ってでも解約した方が有利か → 売却価格差 vs 違約金で比較
  • 解約が難しい場合 → オーナーチェンジで売却も選択肢
  • いずれの場合も → サブリース物件の取り扱い経験がある仲介会社に相談

物件の状況やサブリース契約の内容によって最適な方法は異なります。まずは現在の資産価値を把握することから始めてみてください。

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