サブリース契約中の一棟物件は売却できる?解約の手順と売却価格への影響【2026年版】

サブリース契約の解約と売却の2つの選択肢を比較するアイソメトリック図
INDEX目次

この記事のポイント

  • サブリース付きでも売却可能。ただし「解約して売る」と「付けたまま売る」で査定額に1割を超える差
  • 一例のシミュレーション:10室・賃料7万円なら解約後9,000万円・付けたまま7,657万円で差額1,343万円
  • 解約は3パターン:合意解約(現実的)・正当事由・契約期間満了。違約金は保証賃料3~12か月分
  • 判断の鍵:違約金(例6か月=357万円)と売却価格差(1,343万円)を比較、解約が有利なら交渉を検討

「サブリース契約が付いたままで、一棟物件は売れるのだろうか?」——サブリース中の収益物件を売却したいと考えたとき、多くのオーナー様がこの疑問にぶつかります。結論から言えば、サブリース契約が付いたままでも売却は可能です。ただし、契約を解約してから売る場合と、付けたまま売る場合では売却価格に1割を超える差が生じることがあります。本記事では、サブリース付き物件の売却方法を「解約して売る」「付けたまま売る」の2パターンに分けて、それぞれのメリット・デメリット、解約の具体的な手順と違約金の目安、売却価格をできるだけ高くするポイントを解説します。

サブリース付きの一棟物件は、なぜ売りにくい?

サブリース契約の仕組み

サブリース(一括借上げ)とは、オーナーが所有する物件をサブリース会社が一括で借り上げ、サブリース会社が入居者に転貸する仕組みです。オーナーは空室の有無にかかわらず、サブリース会社から保証賃料を受け取ります(金額は見直し条項などで改定されることがあります)。

項目通常の賃貸管理サブリース(一括借上げ)
入居者との契約オーナー ⇔ 入居者サブリース会社 ⇔ 入居者
空室リスクオーナーが負担サブリース会社が負担
賃料収入満室時は高い保証賃料(相場の80〜90%)
管理の手間管理委託 or 自主管理ほぼゼロ

売却時にぶつかる「借地借家法」の壁

サブリース契約はオーナーが貸主、サブリース会社が借主という関係です。借地借家法は借主(=サブリース会社)を手厚く保護しており、オーナー側からの一方的な解約は簡単にはできません。

契約書に「6ヶ月前の通知で解約可能」と書かれていても、オーナーからの解約には借地借家法第28条の正当事由が必要とされるのが一般的です。「売却したいから」「利回りを上げたいから」という理由だけでは認められないことが多く、解約時に立退料を求められる場合もあります。

解約して売る・付けたまま売る、どちらが得?

選択肢① サブリースを解約してから売却する

サブリース契約を解約し、通常の賃貸管理物件として売却する方法です。

メリット:

  • サブリース手数料(賃料の10〜20%)がなくなるため、実質利回りが上がり、売却価格が高くなる
  • 買主の選択肢が広がり、融資も付きやすくなる傾向があります
  • サブリース会社の賃料減額リスクが買主に引き継がれない

デメリット:

  • 解約に違約金がかかる(後述)
  • 正当事由が認められない場合、解約自体が困難
  • 解約後は空室リスクをオーナーが負担する

選択肢② サブリース付きのまま売却する(オーナーチェンジ)

サブリース契約を維持したまま、買主にオーナーの地位を引き継ぐ方法です。

メリット:

  • 解約の手間・違約金が不要
  • 保証賃料が継続されるため、買主にとって安定収入の魅力がある

デメリット:

  • サブリース手数料分だけ実質利回りが低くなり、売却価格が下がる
  • オーナーチェンジ時にサブリース会社が保証賃料の再査定(減額)を求めてくるケースがある
  • サブリース付き物件を敬遠する投資家もおり、買主が見つかりにくいことがあります

売却価格シミュレーション

条件: 一棟アパート10室、各室賃料7万円/月、還元利回り7%

図A:サブリースを外すと査定が上がりやすい(同一前提の一例) 10室・賃料7万円/月・還元利回り7%(仮定)

主役は査定額。サブリース手数料の分だけ、評価が下がりやすくなります。

サブリース解約後:査定 約9,000万円
約9,000万
年間賃料840万円 → NOI 630万円(経費率25%・仮定)

サブリース付き:査定 約7,657万円
約7,657万
保証賃料714万円(840万×85%)→ NOI 536万円

差(査定額)
約▲1,343万円
※経費率・還元利回りを同一と置き、サブリース手数料の影響だけを抜き出した単純な一例です。実際は管理コストや買主層の違いでも変動します。査定額は将来の売却価格を保証しません。

上図のように、サブリース手数料の有無で査定額に差が出ます(同一前提の一例)。この差額を、後述の違約金と比較して判断します。売却時の手取り計算については「収益物件の売却手取りはいくら?計算方法を解説」も参考になります。

サブリースはどう解約する?違約金はいくら?

解約が認められる3つのパターン

パターン① 合意解約(現実的)

サブリース会社と交渉し、双方合意の上で契約を終了する方法です。違約金の支払いを条件に応じてもらえるケースが多く、実務上はこの方法が選ばれることが多いです。

パターン② 正当事由による解約

借地借家法第28条に基づき、正当事由を主張して解約する方法です。認められる事由の例:

  • 建物の老朽化により取り壊しが必要
  • ローン返済困難で売却がやむを得ない
  • オーナー自身が物件を使用する必要がある

ただし、「高く売りたい」「利回りを改善したい」だけでは正当事由として認められないのが一般的です。

パターン③ 契約期間満了による終了

定期借家契約(定期建物賃貸借)の場合は、期間満了で終了させることが可能です。ただし、サブリース契約の多くは普通借家契約のため、この方法が使えないケースが多いです。

違約金の目安

図B:違約金を払って解約する? 比べるのは2つだけ 目安(契約で大きく異なる)

① 解約の違約金(目安)

保証賃料の3〜12ヶ月分が目安。例)6ヶ月分=約357万円

約357万円

契約書の解約条項により大きく異なる

② 解約による売却価格の差(一例)

上の図Aの例で 約1,343万円

約1,343万円

数値は前提次第で変動

価格差(②)が違約金(①)を上回るほど、解約して売る判断がしやすくなります。まず契約書で違約金を確認しましょう。
※違約金は契約書の解約条項次第。正当事由が必要な場合など、そもそも解約できないこともあります。数値は一例です。

違約金は契約書次第ですが、6ヶ月分なら前述の例で約357万円。上図のように、売却価格の差(②)が違約金(①)を上回るほど、解約して売る判断がしやすくなります。

ただし、違約金の金額は契約書の内容によって大きく異なるため、まず契約書の解約条項を確認することが第一歩です。

サブリース付き物件を、できるだけ高く売るには?

ポイント① まず契約書の解約条項を確認する

サブリース契約書の「中途解約」「契約解除」の条項を確認し、解約通知の期間・違約金の金額・解約の条件を把握します。ここが不明確な場合は、不動産に詳しい弁護士への相談をお勧めします。

ポイント② 解約と売却のシミュレーションを行う

「解約して売った場合の手取り」と「付けたまま売った場合の手取り」を比較します。違約金を払ってでも解約した方が有利かどうかは、物件ごとに異なります。売却全体の流れについては「一棟アパート売却の流れを5ステップで解説」をご覧ください。

ポイント③ 一棟収益物件に強い仲介会社に相談する

サブリース付き物件の売却は、通常の売却以上に専門知識が求められます。サブリース契約の扱いに慣れた仲介会社であれば、解約交渉のアドバイスや、サブリース付きでも購入意欲のある投資家への紹介が可能です。査定方法の違いについては「一棟マンションの査定方法3つを解説」もあわせてご確認ください。

ポイント④ 解約後の空室リスクに備える

サブリースを解約すると、空室リスクはオーナーに戻ります。解約後に空室が多い状態で売りに出すと、査定額が下がる可能性があります。解約と同時に管理会社への切り替え・入居者募集を進め、できるだけ満室に近い状態で売却に臨むことが重要です。空室がある場合の対策は「空室がある一棟アパートは売れる?売却前にやるべきこと」で詳しく解説しています。

一棟収益物件の現在の資産価値を知りたい方は、無料査定をご利用ください。サブリースの有無を踏まえた現在価値の目安をお伝えします。不要な営業電話はいたしません(ご返信は原則翌営業日を目安・状況により前後します)。査定額は将来の売却価格を保証するものではありません。→ https://satei.arklib.co.jp/

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