収益物件の売却で選ぶべき媒介契約は?専任・一般・専属専任を徹底比較【2026年版】
「専任と一般、どちらを選べばいいのか分からない」——収益物件の売却を始めるとき、最初に立ちはだかるのが媒介契約の選択です。媒介契約は「専属専任」「専任」「一般」の3種類があり、それぞれ契約できる会社数・レインズ登録義務・報告頻度が異なります。不動産売却経験者1,562人のアンケートでは、専任媒介は「早く売れる」傾向、一般媒介は「価格に満足」の傾向という興味深い結果が出ています。本記事では、3種類の媒介契約の違いを数字で比較し、一棟収益物件にはどれが最適かを、物件タイプ別・状況別に解説します。
媒介契約とは? 3種類の基本を押さえる
媒介契約の全体像
媒介契約とは、不動産の売却を仲介会社に依頼する際に結ぶ契約です。宅地建物取引業法で3種類が定められており、お任せ度が高い順に「専属専任」>「専任」>「一般」となります。
3種類の比較表
| 項目 | 一般媒介 | 専任媒介 | 専属専任媒介 |
|---|---|---|---|
| 契約できる会社数 | 複数社OK | 1社のみ | 1社のみ |
| 自分で買主を見つけた場合 | 直接契約OK | 直接契約OK | 仲介を通す必要あり |
| レインズ登録義務 | なし(任意) | 7日以内 | 5日以内 |
| 売却活動の報告義務 | なし | 14日に1回以上 | 7日に1回以上 |
| 契約期間 | 制限なし(実務上は3ヶ月) | 最長3ヶ月 | 最長3ヶ月 |
| 成約率(データ) | — | 22.99% | 23.94% |
それぞれを一言で表すと
- 一般媒介 → 「複数社に競わせて最高値を狙う」契約
- 専任媒介 → 「1社に任せて積極的に売ってもらう」契約
- 専属専任媒介 → 「完全にお任せする代わりに最も手厚いサービスを受ける」契約
一般媒介のメリット・デメリットと向いているケース
メリット
① 複数社の競争原理が働く
複数の仲介会社が同時に販売活動を行うため、「自社で成約しなければ手数料ゼロ」という緊張感が生まれます。各社が積極的に買い手を探す動機が生まれる場合があります。
② 囲い込みのリスクがほぼゼロ
複数社に依頼しているため、1社が囲い込みをしても他社経由で買い手が見つかります。2025年の法改正で囲い込み規制は強化されましたが、一般媒介はそもそも構造的に囲い込みが起きにくい点が最大のメリットです。
デメリット
① 仲介会社が広告費をかけにくい
一般媒介では、仲介会社が広告費をかけても他社で成約されれば丸損です。そのため、有料ポータルサイトへの掲載やチラシ配布など、コストをかけた販売活動が消極的になる傾向があります。
② レインズ登録義務がない
一般媒介にはレインズへの登録義務がありません。登録しない場合、物件情報が市場全体に行き渡らず、見えない機会損失が発生する可能性があります。
③ 売主の手間が増える
複数社とのやり取り・内見スケジュールの調整・鍵の管理などを売主自身で行う必要があります。
一般媒介が向いている物件
- 人気エリア・高利回りの物件(放っておいても買い手が集まる)
- 駅徒歩5分以内など競争力が高い物件
- 複数社に依頼する手間を惜しまないオーナー様
専任媒介のメリット・デメリットと向いているケース
メリット
① 仲介会社が本気で売却活動に取り組む
専任媒介なら、成約すれば確実に仲介手数料を得られるため、有料ポータルサイトへの掲載・投資家向けDM・業者間ネットワークへの紹介など、コストをかけた販売活動が期待できます。
② レインズ登録+定期報告で進捗が見える
7日以内のレインズ登録義務と14日に1回の報告義務があるため、売却活動の進捗を定期的に把握できます。2025年の法改正で導入された2次元コード付き登録証明書により、売主自身でレインズのステータスをリアルタイムに確認することも可能になりました。
③ 自分で買い手を見つけた場合も直接契約OK
専属専任との最大の違いがここです。知人の投資家など、自分で買い手を見つけた場合は仲介会社を通さず直接契約でき、仲介手数料が不要になります。
デメリット
① 1社の販売力に依存する
その1社の営業力が弱い場合、売却活動が停滞するリスクがあります。
② 囲い込みのリスクがある
1社に専任で任せるため、その会社が両手取引を狙って囲い込みを行う可能性があります。レインズの登録状況を売主自身で確認する対策が必要です。
専任媒介が向いている物件
- 一棟収益物件全般(投資家ネットワークを持つ1社に任せた方が効率的)
- 郊外・地方の物件(買い手が限られるため、1社に集中して営業してもらう方が有効)
- 価格帯1億円超の物件(買い手が極めて限定されるため専門会社の力が必要)
専属専任媒介のメリット・デメリットと向いているケース
メリット
① 最も手厚いサービスが受けられる
7日に1回の報告義務(専任の2倍の頻度)、5日以内のレインズ登録(専任より2日早い)。仲介会社にとって最も確実に手数料を得られる契約のため、最も積極的な販売活動が期待できます。
② 売主の手間が最小限
内見対応・鍵の管理・スケジュール調整など、すべて仲介会社に一任できます。
デメリット
① 自分で買い手を見つけても仲介手数料がかかる
知人の投資家に直接売却したい場合でも、仲介会社を通す義務があり、仲介手数料が発生します。8,000万円の物件なら約270万円。
② 1社への依存度が最も高い
囲い込みリスクも専任と同様に存在します。
専属専任媒介が向いている物件
- 遠方に住んでいて物件管理に時間を割けないオーナー様
- 売却活動を完全に任せたい方
- 仲介会社との信頼関係が十分にある場合
アンケートデータで見る「早く売れる」vs「高く売れる」
不動産売却経験者1,562人の調査結果
| 項目 | 専任媒介 | 一般媒介 |
|---|---|---|
| 選択した割合 | 38.9% | 44.8% |
| 売却スピードの満足度 | 高い(早く売れた) | やや低い(時間がかかった) |
| 売却価格の満足度 | やや低い | 高い(希望価格に近い) |
この結果から、「早く売りたい」なら専任、「高く売りたい」なら一般という傾向が読み取れます。
一棟収益物件ではどう判断するか
一棟収益物件は区分マンションと比べて買い手が投資家に限定されるため、以下の判断基準が有効です。
| 物件の特徴 | おすすめの媒介契約 | 理由 |
|---|---|---|
| 都心・人気エリア・利回り8%以上 | 一般媒介 | 複数社の競争で高値が期待できる |
| 郊外・地方・利回り5%前後 | 専任媒介 | 1社に集中して営業してもらう方が効果的 |
| 価格帯3億円超 | 専任媒介 | 買い手が極めて限定されるため専門会社の力が必要 |
| 築古・空室多い・修繕必要 | 専任媒介 | 売りにくい物件ほど1社のコミットが重要 |
| 遠方に居住・管理に時間を割けない | 専属専任媒介 | 完全一任で売主の手間を最小化 |
媒介契約で失敗しないための5つのチェックポイント
① 契約前に複数社の査定を取る
媒介契約を結ぶ前に最低3社に査定を依頼し、査定額の根拠と販売戦略を比較します。査定方法の違いは「一棟マンションの査定方法3つを解説」を参照してください。
② 契約期間は3ヶ月で区切る
専任・専属専任の契約期間は最長3ヶ月。3ヶ月で成果が出なければ、契約満了のタイミングで会社を変更できます。途中解約は違約金が発生する場合があるため、契約満了まで待つのが安全です。
③ レインズの登録状況を自分で確認する
専任・専属専任契約では、2025年の法改正で導入された2次元コード付き登録証明書を仲介会社に要求しましょう。「公開中」ステータスになっているか定期的にチェックすることで、囲い込みを防げます。
④ 報告内容の「質」を確認する
14日に1回の報告が義務でも、「反響なし」の一言だけでは意味がありません。以下の項目を含む報告を求めましょう:
- ポータルサイトの閲覧数・問い合わせ件数
- 内見件数と買い手の反応
- 他社からの問い合わせの有無
- 今後の販売戦略の修正案
⑤ 「売れなかった場合」のプランBを事前に合意する
「3ヶ月で売れなかった場合、価格をどう見直すか」「買取に切り替える条件は何か」を契約時点で合意しておくことで、ズルズルと売れない期間が長引くリスクを防げます。失敗パターンは「一棟アパート売却でよくある7つの失敗」を参照してください。
まとめ|媒介契約の選び方フローチャート
Step 1: 物件の立地・利回り・価格帯を確認
↓
Step 2: 人気物件(都心・高利回り)→ 一般媒介を検討
↓
Step 3: それ以外の物件 → 専任媒介を基本に選択
↓
Step 4: 売却活動を完全一任したい → 専属専任媒介を検討
↓
Step 5: 契約前に「囲い込み防止策」と「3ヶ月後のプランB」を合意
媒介契約は売却の成否を左右する重要な選択です。不動産会社の選び方については「一棟収益物件の売却で失敗しない不動産会社の選び方」、売却全体の流れは「一棟アパート売却の流れを5ステップで解説」もあわせてご覧ください。
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