持株会社(ホールディングス)で進める事業承継 完全ガイド【2026年版】|設立3つの方法・自社株評価・一棟不動産の組み合わせ方

持株会社による事業承継の全体像。自社株を次の代へ引き継ぎ一棟不動産で設計するイメージ
INDEX目次

「自社株を後継者にどう渡すか」。事業承継を考え始めた中小企業オーナーの多くが、最初に突き当たるのがこの問題ではないでしょうか。会社の業績を伸ばすほど自社株の評価額は上がり、後継者の税負担や買取資金の問題は年々重くなっていきます。

2027年には、事業承継を取り巻く3つの期限が重なります。非上場株式の評価に関わる「5年ルール」の適用開始(2027年1月)、特例承継計画の提出期限(2027年9月30日)、そして事業承継税制・特例措置の適用期限(2027年12月31日)です。承継の選択肢を比較検討するなら、2026年はその準備に充てられる貴重な1年といえます。

本記事では、事業承継の有力な選択肢のひとつである「持株会社(ホールディングス)」について、設立の3つの方法、自社株評価の仕組み、「株式保有特定会社」という評価上の壁、そして一棟収益物件を組み合わせる際の考え方までを、モデルケースの数値とともに整理します。

自社株評価と不動産の関係の全体像は「自社株評価を不動産で圧縮する完全ガイド」で、5年ルールの詳細は「事業承継の5年ルール」で解説しています。本記事は、その中でも「持株会社」に焦点を絞った各論です。

弊社アークリブは、投資用一棟収益物件を専門とする仲介会社です。税理士法人ではありませんので、本記事は不動産仲介の現場の立場からの一般的な情報提供として整理しています。

具体的な税額の計算や個別のスキーム設計の適否は、必ず顧問税理士にご確認ください。記事内の数値はすべて単純化したモデルケースです。

持株会社(ホールディングス)とは——事業承継で選ばれる理由

持株会社とは、他の会社の株式を保有し、グループ全体を統括することを主な目的とする会社です。「〇〇ホールディングス」という社名は上場企業でよく見かけますが、仕組みそのものは中小企業でも活用できます。

純粋持株会社と事業持株会社

持株会社には大きく2つの形があります。

  • 純粋持株会社:自らは事業を行わず、子会社の株式保有とグループ管理に専念する会社
  • 事業持株会社:自らも事業を営みながら、子会社の株式を保有する会社

中小企業の事業承継では、後継者が設立した新会社が先代の株式を買い取って純粋持株会社になるケースと、既存の会社を株式移転などで持株会社体制に再編するケースの両方が見られます。

事業承継の「3つの悩み」にどう効くのか

持株会社化が事業承継の文脈で選ばれる理由は、主に次の3点に整理できます。

  1. 株式の分散を防げる:相続人が複数いても、事業会社の株式は持株会社が100%保有し続けるため、経営権が親族間で分散しにくくなります。
  2. 承継後の株価上昇を「間接保有」の形で受け止められる:事業会社の株価が将来上がっても、持株会社を通じた間接保有であれば、評価への反映が一定程度緩和されます(仕組みは後述の「37%控除」で解説します)。
  3. 買取資金を法人で調達できる:後継者個人では難しい多額の買取資金も、法人の借入として組み立てる道が開けます。

一方で、「持株会社をつくれば株価が下がる」という単純な話ではありません。この点は本記事全体を通じて、効果と限界の両方を確認していきます。

どんな会社に向いているか

持株会社化の検討が現実的になりやすいのは、おおむね次のような条件が重なる会社です。①後継者が決まっている(またはほぼ固まっている)、②業績が堅調で自社株の評価額が年々上がっている、③借入の返済を支えられるキャッシュフローがグループにある——の3点です。逆に、後継者が未定の段階では、持株会社の設計だけが先行しても器が活きません。まずは承継の方向性を固めることが先決です。

持株会社をつくる3つの方法——株式移転・株式譲渡・会社分割

持株会社体制への移行には、代表的な方法が3つあります。どれを選ぶかで、オーナーの手元に現金が入るかどうか、課税のタイミング、借入の要否が大きく変わります。

持株会社スキーム(借入による株式買取)の全体像
先代オーナー(60歳)
金融機関
持株会社(後継者が100%出資で新設)
事業会社(食品卸売業)
一棟収益物件
金融機関
① 借入 2.8億円
持株会社
持株会社
② 株式買取代金 2.8億円
先代オーナー
先代オーナー
③ 株式100%を譲渡
持株会社
事業会社
④ 配当(100%子会社は原則益金不算入)
持株会社
一棟収益物件
⑤ 賃料収入
持株会社
持株会社
⑥ 返済(配当+賃料の二本立て)
金融機関
※モデルケースを単純化した概念図。実際の株価算定・課税関係は顧問税理士にご確認ください。

方法① 株式移転——既存会社の上に持株会社を新設する

会社法上の組織再編のひとつで、既存の事業会社の株主(オーナー)が保有株式を新設の持株会社に移し、代わりに持株会社の株式を受け取る方法です。税制上の適格要件を満たせば、移転時の譲渡損益への課税は繰り延べられます。

オーナーの保有対象が「事業会社株式」から「持株会社株式」に置き換わるだけで、現金は動きません。グループ経営の体制整備や、複数の子会社を束ねる場面で使われることが多い方法です。

方法② 後継者の新会社による株式買取——借入を活用した承継スキーム

後継者が新会社(受け皿会社)を設立し、その会社が金融機関からの借入でオーナーの株式を買い取る方法です。事業承継の実務で「持株会社スキーム」と呼ばれる場合、多くはこの形を指します。

  • オーナー側:株式を時価で譲渡し、譲渡益に対して約20.315%(所得税・住民税等)の申告分離課税を受けます。相続を待たずに株式を現金化でき、老後資金や、他の相続人との遺産分割の調整資金を確保できます。
  • 後継者側:個人で多額の借入を負わずに、法人として買取資金を調達できます。
  • 返済原資:事業会社からの配当が中心になります。持株割合100%の子会社からの配当は、原則として法人税の課税対象に含めない(益金不算入)扱いのため、グループ内の資金移動として返済に充てやすい構造です。

なお、時価より著しく低い価額での譲渡は贈与税等の問題が生じ得るため、適正な株価算定が前提になります。

方法③ 会社分割によるグループ再編

既存会社を事業部門ごとに分割し、持株会社の下に事業子会社としてぶら下げる方法です。本業と不動産部門を切り分けて不動産管理会社を独立させる場合などにも使われます。

3つの方法の比較

項目① 株式移転② 新会社による買取③ 会社分割
現金の移動なしオーナーに譲渡代金が入るなし
オーナー側の課税適格なら繰り延べ譲渡益に約20.315%適格なら繰り延べ
借入不要必要(買取資金)原則不要
主な狙い体制整備・グループ管理経営権の移転+現金化事業の切り分け

適格・非適格の判定要件は細かく、選択を誤ると想定外の課税が生じます。実行前に必ず顧問税理士にご確認ください。

持株会社の自社株評価——純資産価額方式と「37%控除」

非上場株式の評価方式の全体像(類似業種比準方式・純資産価額方式・併用方式)は「自社株評価を不動産で圧縮する完全ガイド」で詳しく解説しています。ここでは、持株会社に特有の論点に絞ります。

持株会社の評価は「純資産価額方式」に寄りやすい

持株会社の株式評価には、2つの構造的な特徴があります。

  • 設立後3年未満の会社(開業後3年未満の評価会社)は、原則として純資産価額方式で評価されます。方法②で新設した受け皿会社は、当初この区分に入ります。
  • 純粋持株会社は総資産の大半が子会社株式のため、後述する株式保有特定会社に該当しやすく、この場合も原則として純資産価額方式で評価されます。

つまり持株会社は、類似業種比準方式による評価メリットを取りにくい構造にあります。「持株会社化=評価が下がる」と考えるのは正確ではなく、効果はもっと限定的な形で現れます。

評価差額に対する「法人税額等相当額の控除」(37%)の仕組み

純資産価額方式では、会社が保有する資産の含み益(相続税評価額と帳簿価額の差額)に対して、法人税額等に相当する金額として37%(2026年時点の取扱い)を控除できます。

これが、持株会社が「承継後の株価上昇を受け止める」効果の正体です。

  • オーナーが事業会社株式を直接保有している場合:株価上昇はそのまま相続財産の増加につながります。
  • 持株会社を通じて保有している場合:事業会社株式の値上がり分は持株会社の中の含み益となり、37%控除後の63%相当だけが持株会社株式の評価に反映されます。

モデルケース(単純化した一例):持株会社の設立時に事業会社株式の評価額が2億8,000万円(帳簿価額も同額)だったとします。8年後、事業会社の成長で評価額が4億円に上昇した場合、評価差額1億2,000万円×37%=4,440万円が控除され、直接保有と比べてその分だけ評価を抑えられる計算です(他の資産・負債は捨象しています)。

8年後の自社株評価の比較(モデルケース・37%控除の効果)
設立時の事業会社株式の評価額 2.8億円 → 8年後 4.0億円に上昇した場合
直接保有の場合
設立時評価 2.8億円
上昇分 1.2億円


4.0億円
持株会社経由の場合
設立時評価 2.8億円
上昇分の63% 7,560万円


約3.56億円
評価差額1.2億円 × 37% = 4,440万円が控除される
※他の資産・負債を捨象した単純化モデル。37%は2026年時点の取扱い。

注意したいのは、この仕組みは「将来の上昇分」に効くものであり、設立した時点の評価額そのものを下げる効果ではない、という点です。承継対策としての持株会社は「株価をこれ以上、相続財産として膨らませない」ための器と捉えるのが実態に近いといえます。

本セクションの内容は一般的な情報提供です。具体的な評価額の計算は顧問税理士にご確認ください。

株式保有特定会社(株特)とは——持株会社が向き合う評価の壁

持株会社を検討するうえで避けて通れないのが、「株式保有特定会社」(実務では「株特」と略されます)という評価上の区分です。

判定基準は「株式等の保有割合50%以上」

相続税評価では、総資産(相続税評価額ベース)に占める株式等の価額の割合が50%以上の会社は、会社規模にかかわらず「株式保有特定会社」と判定されます(財産評価基本通達)。

純粋持株会社は資産の大半が子会社株式ですから、多くの場合この区分に該当します。

該当するとどうなるか

株式保有特定会社に該当すると、株式の評価は次のいずれかになります。

  • 原則:純資産価額方式
  • 選択:「S1+S2方式」——保有資産を株式等(S2)とそれ以外(S1)に分けて評価する方式

いずれにしても、業績連動で評価が緩和されやすい類似業種比準方式をフルに使うことはできません。持株会社の評価が「純資産価額方式に寄りやすい」と先に述べたのは、この判定があるためです。

株式保有特定会社の判定——総資産に占める株式等の割合50%以上
判定ライン 50%


持株会社の設立直後
子会社株式 100%

該当(純資産価額方式が原則)
一棟収益物件を組み入れた後
子会社株式 63.6%
不動産 31.8%


なお該当(50%以上)
現預金等 4.6%

※不動産を組み入れても50%を下回るとは限らない。判定はあくまで相続税評価額ベースの割合による。
※判定を免れる目的だけの駆け込みの資産の組み替えは、なかったものとして扱われる場合がある(財産評価基本通達)。

「株特外し」の落とし穴——実態のない資産の組み替えは通用しない

株式等の割合を50%未満に下げる目的で、不動産などの他の資産を組み入れることを、実務では俗に「株特外し」と呼ぶことがあります。しかし、この発想には明確なリスクがあります。

  • 財産評価基本通達には、課税時期前に合理的な理由なく資産構成を変動させ、判定を免れようとしたと認められる場合には、その変動はなかったものとして判定する旨の定めがあります。
  • 評価の引き下げだけを目的とした駆け込みの資産組み替えには、通達によらない評価(いわゆる総則6項)が適用されるリスクもあります。行き過ぎた相続税対策が最高裁で否認された事例は、「相続税対策 一棟マンション完全ガイド」で紹介しています。

弊社が事業承継の文脈でのご相談で一貫してお伝えしているのは、不動産の組み入れは「評価対策のテクニック」としてではなく、グループの収益基盤・借入返済原資という事業実態を伴う投資として設計することです。遠回りに見えて、それが最も堅実な道だと考えています。

持株会社×一棟収益物件の組み合わせ方(モデルケース)

では、持株会社体制に一棟収益物件を組み合わせるとき、不動産は具体的にどんな役割を果たすのでしょうか。

不動産が果たす3つの役割

  1. 返済原資を二本立てにする:方法②の借入買取スキームでは、事業会社からの配当が返済原資の中心です。ただし配当は本業の業績に左右されます。持株会社自身が賃料収入を持てば、返済原資が「配当+賃料」の二本立てになり、返済計画の安定性が増します。
  2. 本業と連動しにくい収益基盤をつくる:賃貸収益は本業の景気変動と必ずしも連動しません。グループ全体で見たときの収益の分散になります。
  3. 資産構成が変わる:結果として株式等の保有割合が下がる方向に働きます。ただし前述の通り、これを主目的に据えるべきではありません。

どの会社で不動産を持つか

同じ「グループで一棟収益物件を持つ」場合でも、保有主体によって意味合いが変わります。

保有主体向いているケース主な留意点
持株会社買取借入の返済原資を補強したい・グループ資産を一元管理したい株特判定や5年ルールが持株会社株式の評価に直結する
事業会社本業の利益対策と合わせて検討したい事業リスクと不動産が同居する(詳細は法人不動産投資の節税ガイド
不動産管理子会社事業リスクと不動産を切り分けたい・将来の本業M&Aに備えたい会社が増える分の維持コスト(法人化判断ガイド参照)

モデルケース試算(一例)

前提(モデルケース):食品卸売業を営むオーナー(60歳)と後継者の長男(33歳)。自社株評価は2億8,000万円(純資産価額方式ベース)で、オーナーが100%保有しているとします。

  • Step1(株式の買取):後継者が持株会社を新設し、金融機関からの借入2億8,000万円でオーナーの株式を全株買い取ります。オーナー側は、取得費を500万円と置くと譲渡益2億7,500万円×20.315%≒約5,590万円の税負担で、手取り約2億2,400万円を老後資金・遺産分割の調整資金として確保できます。
  • Step2(不動産の組み入れ):持株会社が一棟収益物件(例:1億5,000万円・表面利回り7%=年間賃料1,050万円)を追加借入で取得します。賃料収入が配当と並ぶ返済原資となり、グループの収益基盤が一本増えます。
  • Step3(その後の承継設計):以後の事業会社の株価上昇は持株会社の中の含み益となり、37%控除が働く構造になります。後継者に集中させた経営権はそのまま、二次相続や次の代の承継を見据えた設計に移れます。

数値はすべて単純化した一例です。実際の株価算定・課税関係・借入条件は個社ごとに大きく異なりますので、顧問税理士・金融機関を交えてご検討ください。

一棟収益物件の取得について相談する →

5年ルール(2027年〜)との時間軸を確認する

純資産価額方式の評価では、課税時期前5年以内に取得した貸付用不動産は通常の相続税評価ではなく時価で評価されます(令和8年度税制改正・2027年1月1日以後の相続・贈与から適用)。持株会社で不動産を持つ場合も、この5年ルールは持株会社株式の純資産価額の計算に直結します。

つまり、「いつ承継が起きるか」から逆算して「いつ取得するか」を決める、時間軸の設計が従来以上に重要になりました。制度の詳細と実務への影響は「事業承継の5年ルール解説」をご覧ください。

持株会社化の留意点——コスト・資金繰り・否認リスク

持株会社は有力な選択肢ですが、当然ながら負担とリスクも伴います。主な留意点を3つ挙げます。

会社が増える分のコストと事務負担

法人が1社増えれば、法人住民税の均等割、税理士報酬、登記や社会保険の手続きなど、毎年の維持コストと事務負担が発生します。規模の小さいグループでは、この固定費が効果に見合わないこともあります。コスト感の目安は「法人化判断ガイド」で整理しています。

借入返済と配当の資金繰り

方法②のスキームは、「事業会社が稼ぐ→配当する→持株会社が返済する」という資金の流れが前提です。本業の業績悪化は、そのまま返済計画に響きます。無理のない借入期間の設定と、賃料収入など配当以外の返済原資の確保が、現実的な備えになります。

金融機関はどこを見るか

方法②の買取資金や物件取得資金の借入審査で、金融機関が見るのは主に3点です。①事業会社の業績と配当余力、②グループ全体のキャッシュフロー、③取得する物件の担保力と収益の安定性。とくに③は、持株会社スキームの信頼性を左右します。金融機関ごとの融資姿勢や使い分けは「一棟収益物件の融資戦略ガイド」で詳しく整理しています。

「租税回避」と見られない設計にする

繰り返しになりますが、評価の引き下げだけを目的とした駆け込みの組成は、財産評価基本通達の判定規定や総則6項による否認リスクを高めます。グループ管理機能・収益源・資金計画といった事業実態を積み上げ、評価面の効果は結果として付いてくるものと位置づける設計が肝要です。

このほか、将来のM&A売却時に持株会社構造が障害になり得る点など、株価対策全般の落とし穴は「自社株評価を不動産で圧縮する完全ガイド」の「落とし穴7選」で解説しています。

事業承継税制(特例措置)との使い分け——2027年に重なる3つの期限

事業承継の税負担対策としては、贈与税・相続税の納税を猶予する「事業承継税制(特例措置)」も広く知られています。持株会社スキームとは方向性がまったく異なるため、違いを押さえておきましょう。

納税猶予と持株会社スキームは何が違うか

  • 事業承継税制(特例措置):対象株式の贈与税・相続税の納税が100%猶予されます。ただし、雇用や株式保有などの要件を維持し続ける負担があり、要件を外れると猶予が打ち切られるリスクがあります。「猶予」であって「免除」が確定しているわけではない点も重要です。
  • 持株会社スキーム(方法②):猶予ではなく、譲渡による現金化と経営権の移転を一度に行う方法です。オーナーの手取り確保と引き換えに、グループに借入と利払いが発生します。

なお、資産の保有や運用を主とする会社(資産保有型会社等)は事業承継税制の対象外となる場合があります。持株会社に不動産を組み入れる設計では、この適用関係も含めて顧問税理士との事前確認が欠かせません。

2027年に重なる3つの期限

2027年に重なる3つの期限
2026年
2027年
検討・準備の期間(株価算定/スキーム比較/金融機関調整/物件選定)
2027年1月1日
2027年9月30日
2027年12月31日
2027年1月1日
5年ルール適用開始(課税時期前5年以内に取得した貸付用不動産は時価評価)
2027年9月30日
特例承継計画の提出期限
2027年12月31日
事業承継税制・特例措置の適用期限
※各期限の詳細・適用要件は顧問税理士にご確認ください。
期限内容
2027年1月1日5年ルールの適用開始(課税時期前5年以内に取得した貸付用不動産は時価評価)
2027年9月30日特例承継計画の提出期限
2027年12月31日特例措置による贈与・相続の適用期限

スキームの比較検討、株価算定、金融機関との調整、物件の選定・取得——いずれも数ヶ月から年単位の準備が必要です。「2027年はまだ先」ではなく、2026年のうちに検討の土台を固めておくのが現実的なスケジュール感といえます。

よくある質問(Q&A)

Q1. 持株会社をつくれば、自社株の評価は下がりますか?

設立しただけで評価が下がるわけではありません。持株会社の主な効果は、設立後の株価上昇分に37%控除が働くことによる「将来の増加の緩和」と、株式分散の防止・買取資金の法人化にあります。設立時点の評価額を直接下げる仕組みではない点にご注意ください。

Q2. 株式保有特定会社に該当すると、必ず不利になりますか?

類似業種比準方式のメリットは取りにくくなりますが、「不利」かどうかは資産構成と承継の設計次第です。S1+S2方式の選択肢もあります。該当を前提に、純資産価額方式の中でどう設計するかを考えるのが実務的です。

Q3. 持株会社で不動産を買えば、株特を外せますか?

株式等の割合が50%を下回れば判定上は該当しなくなりますが、判定を免れる目的だけの駆け込みの組み替えは、なかったものとして扱われる可能性が通達に明記されています。返済原資・収益基盤としての実態を伴う投資として設計することが前提です。

Q4. 事業承継税制と持株会社スキームは、どちらを選ぶべきですか?

「税を猶予しながら株式を渡す」のか「株式を現金化して経営権を移す」のか、方向性が根本的に異なります。オーナーの資金ニーズ、後継者の状況、会社の借入余力によって答えは変わりますので、2027年の各期限を踏まえて顧問税理士と比較検討することをおすすめします。

Q5. 持株会社で取得する物件は、どんな基準で選ぶべきですか?

返済原資として機能することが第一ですので、利回りの高さよりも稼働の安定性・立地・修繕リスク・出口(売却のしやすさ)のバランスを重視すべき局面です。物件選定の判断軸は「一棟収益物件の選び方完全ガイド」で15項目に整理しています。

Q6. 持株会社は株式会社と合同会社のどちらでつくるべきですか?

設立・維持コストの低さでは合同会社に分がありますが、金融機関からの見え方、将来の増資や組織再編の柔軟性、次の代への承継のしやすさでは株式会社が選ばれることが多い印象です。株式(持分)の評価の考え方は基本的に共通ですが、定款設計や意思決定の仕組みが異なるため、グループの将来像に合わせて顧問税理士・司法書士とご検討ください。

まとめ——持株会社×不動産の事業承継、検討の順序5ステップ

持株会社を軸にした事業承継は、次の順序で検討すると論点を整理しやすくなります。

  1. 現状把握:自社株の評価額と株主構成を把握する(株価算定は顧問税理士へ)
  2. 方向性の決定:「猶予しながら渡す(事業承継税制)」か「買い取らせて現金化する(持株会社)」か、2027年の期限も踏まえて方向を定める
  3. スキーム設計:設立3つの方法から選択し、株式保有特定会社の判定と資金計画を確認する
  4. 資産構成の設計:不動産の役割(返済原資・収益基盤)と保有主体を決め、5年ルールの時間軸から取得タイミングを逆算する
  5. 実行体制:顧問税理士・金融機関・不動産会社のチームで実行に移す

持株会社は「つくること」が目的ではなく、経営権の集中と資産の設計を通じて、会社と家族の次の30年を支える器です。評価面の効果だけを追わず、事業実態のある設計を積み上げていくことが、結果として最も堅実な承継対策になると弊社は考えています。

本記事は一般的な情報提供であり、特定のスキームの実行を推奨するものではありません。具体的な税額・税務判断は必ず顧問税理士にご相談ください。

一棟収益物件の戦略的な取得・売却をご検討の方へ

事業承継・持株会社の文脈での一棟収益物件の取得は、収益性だけでなく返済原資としての安定性と出口まで見据えた物件選定が重要です。弊社は特定の自社物件を売り込むのではなく、市場全体から最適な物件を選定する仲介を主軸とした独立系の不動産会社として、取得のご相談を承っています。一棟収益物件の取得について相談する →

すでに一棟収益物件をお持ちの方で、現在の資産価値を知りたい方は、無料査定をご利用ください。営業電話一切なし・最短翌営業日に回答いたします。→ https://satei.arklib.co.jp/

出典・参考

  • 国税庁 タックスアンサー No.4638「取引相場のない株式の評価」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4638.htm
  • 国税庁 財産評価基本通達(取引相場のない株式の評価・株式保有特定会社の判定)
  • 中小企業庁「事業承継の支援策」(特例承継計画・法人版事業承継税制) https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/index.html
  • 令和8年度税制改正大綱(貸付用不動産の5年ルール)——制度解説は当社解説記事を参照
信頼し握手する画像