金利上昇で収益物件は売るべきか?2026年の金利動向と売却判断の考え方【最新版】

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「金利が上がり始めたが、今売るべきか、持ち続けるべきか」——2024年3月のマイナス金利解除以降、日銀は段階的に利上げを進め、2025年12月には政策金利が0.75%(1995年以来30年ぶりの水準)に達しました。エコノミスト約40名の予測では、2026年末までに約1.0%への上昇が見込まれています。金利上昇は収益物件の価値に直接影響します。本記事では、金利上昇が一棟収益物件の「売却価格」「ローン返済額」「キャッシュフロー」にどう影響するかを具体的なシミュレーションで示し、「売る」か「持つ」かの判断基準をお伝えします。

日銀の利上げ推移と今後の見通し

2024〜2026年の政策金利の推移

時期政策金利出来事
2024年3月0〜0.1%マイナス金利政策を解除
2024年7月0.25%追加利上げ
2025年1月0.50%追加利上げ
2025年12月0.75%追加利上げ(30年ぶりの水準)
2026年末(予測)約1.0%エコノミスト約40名の中央値予測

アパートローン金利への波及

政策金利の上昇は、変動金利型のアパートローンに直接反映されます。2024年3月時点で変動金利1.5%前後だったアパートローンは、2026年4月時点で2.0〜2.5%前後に上昇しています。今後さらに政策金利が1.0%まで上がれば、アパートローンの変動金利は2.5〜3.0%に達する可能性があります。

金利上昇が収益物件に与える3つの影響

影響① ローン返済額の増加

変動金利でアパートローンを組んでいる場合、金利上昇は返済額に直接響きます。

シミュレーション:借入額8,000万円・残期間20年の場合

金利月額返済額年間返済額総返済額金利1.5%との差(総額)
1.5%38.6万円463万円9,264万円
2.0%40.4万円485万円9,696万円+432万円
2.5%42.3万円508万円10,152万円+888万円
3.0%44.3万円532万円10,632万円+1,368万円

金利が1.5%から3.0%に上がると、総返済額は約1,368万円増加します。月額では約5.7万円の負担増です。

影響② 物件価格の下落圧力

収益物件の価格は「不動産価格 = 純収益(NOI) ÷ キャップレート(還元利回り)」で決まります。金利が上がるとキャップレートにも上昇圧力がかかり、同じNOIでも物件価格は下がります。

シミュレーション:NOI 600万円の物件の場合

キャップレート物件価格金利1.5%時との差
6.0%(金利1.5%時の水準)1億円
6.5%(金利2.0%時の想定)9,231万円▲769万円
7.0%(金利2.5%時の想定)8,571万円▲1,429万円
7.5%(金利3.0%時の想定)8,000万円▲2,000万円

金利が1.5%上昇すると、物件価格は約2,000万円(20%)下落する可能性があります。これは「将来売る場合に、今より2,000万円安くなるかもしれない」ということを意味します。

影響③ キャッシュフローの悪化

ローン返済額が増え、物件価格が下がる一方、家賃収入は金利上昇に連動して上がるわけではありません。

シミュレーション:8,000万円の物件(年間家賃収入600万円)の年間CF

金利年間返済額経費(25%)年間CFCF利回り
1.5%463万円150万円▲13万円▲0.2%
2.0%485万円150万円▲35万円▲0.4%
2.5%508万円150万円▲58万円▲0.7%
3.0%532万円150万円▲82万円▲1.0%

このシミュレーションでは、金利1.5%の時点で既にCFがギリギリです。金利が2.5%を超えると、月あたり約5万円の持ち出しが発生する計算になります。

「売る」か「持つ」かの判断基準

売却を検討すべき5つのシグナル

#シグナル具体的な目安
CFがマイナスになっている月の持ち出しが3万円以上
変動金利で借りていて借り換えが困難固定金利への借り換え審査が通らない
減価償却の終了が近い残り1〜2年以内
大規模修繕が迫っている外壁・屋根・給排水管の修繕が1〜2年以内
空室率が上昇傾向にある直近1年で入居率が5%以上低下

これらのシグナルが2つ以上当てはまる場合は、売却を真剣に検討するタイミングです。減価償却終了の影響は「収益物件の減価償却が終わったら売却すべき?」を参照してください。

保有を継続すべき3つの条件

#条件具体的な目安
固定金利で借りている返済額が金利上昇の影響を受けない
CFが十分にプラス金利2%上昇後もCFがプラスを維持
ローン残債が少ない or 完済済み残債が物件価格の30%以下

特にローン完済済みの物件は、金利上昇の影響をほぼ受けません。安定した家賃収入を享受し続けるのが合理的です。

金利上昇局面で売却する場合の3つの戦略

戦略① 「今の金利水準で融資が通るうちに」早期売却

金利がさらに上がると、買い手が組めるローンの金額が減り、購入希望価格が下がります。現在の金利水準で買い手に融資が通るうちに売却活動を始めることで、高値売却の可能性が高まります。

戦略② 売却益で「ローン金利の低い物件」に入れ替える

売却代金を使って、固定金利 or 低金利のローンが組める新しい物件に買い替える戦略です。築古の物件を売却し、築浅の高稼働物件に入れ替えることで、金利上昇リスクとキャッシュフローの両方を改善できます。出口戦略の詳細は「収益物件の出口戦略|売る・持つ・組み替えの判断基準」をご覧ください。

戦略③ 法人所有なら決算期を考慮して売却タイミングを調整

法人所有の場合、売却益は本業利益と合算して法人税が計算されます。本業が赤字の年に売却すれば、損益通算で法人税を大幅に軽減できます。法人の売却戦略は「法人所有の収益物件を売却するベストタイミングは?」を参照してください。

金利上昇に備える4つの対策(保有を続ける場合)

対策① ストレステストを行う

「金利が+0.5%」「+1.0%」「+1.5%」上昇した場合のCFをシミュレーションし、CFがマイナスになる金利水準(損益分岐金利)を把握しておきます。

対策② 変動金利から固定金利への借り換えを検討する

金利上昇が本格化する前に固定金利への借り換えを行えば、返済額を確定できます。ただし、固定金利は変動金利より高く設定されているため、現時点でのCFへの影響も含めて判断する必要があります。

対策③ 繰り上げ返済で元金を減らす

手元資金に余裕がある場合、繰り上げ返済で元金を圧縮すれば、金利上昇時の返済額増加を抑えられます。

対策④ 空室を埋めて家賃収入を最大化する

金利上昇でコストが増える分、収入側を最大化することが重要です。空室がある場合は入居付けに注力し、長期入居者の家賃が相場より安い場合は更新時の見直しも検討します。空室対策は「空室がある一棟アパートは売れる?売却前にやるべきこと」を参照してください。

まとめ|金利上昇時代の収益物件オーナーが取るべきアクション

現状取るべきアクション
CFがマイナス or ギリギリ売却を検討(物件価格がさらに下がる前に)
変動金利で借りているストレステスト+固定金利借り換えを検討
減価償却終了+大規模修繕が迫っている早期売却が合理的
固定金利 or ローン完済済み保有継続(CFが安定している限り)
法人所有決算期との兼ね合いで売却タイミングを調整

金利上昇は、すべてのオーナーに一律に「売却」を迫るものではありません。ご自身の物件でシミュレーションしたい方は「金利上昇シミュレーター」をご活用ください。物件情報を入力するだけで、金利上昇後のキャッシュフロー変化と「保有」か「売却」かの判断材料が得られます。重要なのは自分の物件のCFが金利上昇にどこまで耐えられるかを数字で把握し、判断することです。市況データに基づく売り時の判断は「一棟マンションの売り時はいつ?2026年の市況データから判断」もあわせてご覧ください。

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