一棟アパート売却の実例に学ぶ4つの体験談|築古・サブリース・相続・法人売却の判断と結果【2026年版】

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「自分と似た状況のオーナーは、実際どのように売却を決断し、結果どうなったのか」——一棟収益物件の売却を検討する際、もっとも参考になるのは他のオーナーの実例です。本記事では、アークリブが首都圏で取り扱ってきた一棟売却の傾向をもとに、築古・サブリース・相続・法人売却の4パターンを仮想ケース化して紹介します。※個人情報保護のため、すべて業界の典型的な状況を再構成した想定事例ですが、数字や判断プロセスは実務で見られる実態に即しています。売却を迷っている方が、「自分ならこう動く」という解像度を高める材料としてご活用ください。

なぜ「他人の売却事例」を読むべきなのか

体験談は「決断の解像度」を上げる

税金・市況・融資環境といった数字の知識はネットで調べれば手に入りますが、「実際どのタイミングで、何を決め手に動いたのか」という判断プロセスは、体験談からしか学べません。

体験談から得られる3つのメリット

メリット内容
自分の状況を客観視できる「自分だけが悩んでいるわけではない」と分かる
判断の優先順位が見える何を重視して決断したかの基準を学べる
落とし穴を事前に察知できる他人の失敗から自分のリスクを回避

本記事の読み方

以下、4つの典型パターンをご紹介します。自分と近い状況のケースから読む、もしくは全パターンを比較して判断軸を磨くのどちらでも有効です。

ケース1|築25年木造アパートを売却したA様(60代・個人オーナー)

物件概要

項目内容
所在地埼玉県(最寄駅バス10分)
構造木造2階建て・8戸
築年数25年
取得年18年前(3,800万円で取得)
売却時の想定価格3,000万〜3,300万円
売却時の空室2戸

売却を決めた3つの理由

  1. 減価償却が終了していた — 毎年計上していた償却費がなくなり、所得税負担が増えた
  2. 大規模修繕の時期 — 外壁塗装・屋根補修で約300万円の見積もり
  3. 相続を意識し始めた — 現金化して配偶者・子への分割をしやすくしたい

判断プロセス

A様は最初「自分で売れるなら手数料を節約したい」と個人売買を検討しましたが、相場把握と買主探索の難しさを理由に断念。地元と首都圏の仲介会社3社に査定を依頼し、最終的に専任媒介契約で首都圏ベースの仲介会社を選択されました。

結果

項目内容
売却価格3,150万円
媒介契約専任媒介
販売期間約4ヶ月
譲渡所得税(長期)約130万円
手取り約2,850万円

A様のコメント(想定)

「減価償却が終わって税負担が増えた時点で、修繕して保有し続けるか、売却するかの岐路でした。修繕に300万円投じても家賃が上がらないと分かり、『利益の再投資先としての不動産』は別の物件で構築すべきと判断しました。」

学び

  • 減価償却の終了は「出口を考える合図」
  • 修繕費を払う前に、その投資が回収できるか検証する
  • 個人売買はリスクが高く、プロに任せた方が結果的に手取りが増えるケースが多い

関連記事:「収益物件の減価償却が終わったら売却すべき?」「築古の一棟アパートは売却できる?

ケース2|サブリース付き一棟マンションを売却したB様(40代・現役世代)

物件概要

項目内容
所在地東京都(郊外・駅徒歩12分)
構造RC造5階建て・16戸
築年数12年
取得年9年前(2.1億円で取得)
売却時の想定価格1.9億〜2.1億円
サブリース契約残り6年・賃料90%保証

売却を決めた3つの理由

  1. サブリース賃料が2年ごとに減額されていた — 契約当初から計15%の減額
  2. 金利上昇で借入負担が増加 — 変動金利が0.5%上昇し年間キャッシュフロー悪化
  3. 子の教育資金の流動性確保 — 現金化して教育資金の選択肢を広げたい

判断プロセス

B様は「サブリース契約を解除してから売却すべきか、つけたまま売却すべきか」で悩まれました。仲介会社のアドバイスで、サブリース契約付きのまま売却する方針に。理由は、解除交渉が長引くリスクと、買主側が「管理込み」を歓迎するケースも多いと判断したためです。

結果

項目内容
売却価格1.95億円
媒介契約専任媒介
販売期間約5ヶ月
譲渡所得税(長期)約540万円
手取り(借入返済後)約3,800万円

B様のコメント(想定)

「サブリースを解除しようとすると、半年以上の猶予期間や違約金の話になり、売却タイミングを逃す懸念がありました。『契約つきでも評価してくれる買主は必ずいる』という仲介会社の説明で決心がつきました。」

学び

  • サブリース契約は「解除せずに売却」が選択肢として有力
  • 金利上昇局面は、変動金利ローンの負担を再計算するタイミング
  • 「いつ売るか」を数字(利回り・キャッシュフロー)で判断する

関連記事:「一棟マンションのサブリース契約、付けたまま売れる?」「金利上昇局面で収益物件は売却すべき?

ケース3|相続した一棟アパートを売却したC様(30代・相続人)

物件概要

項目内容
所在地神奈川県(駅徒歩8分)
構造木造2階建て・10戸
築年数18年
相続取得父からの相続(相続税評価額6,800万円)
売却時の想定価格7,500万〜8,000万円
相続時の空室1戸

売却を決めた3つの理由

  1. 遠方に住んでおり管理が難しい — 相続人は東京在住で物件は神奈川、現地対応が困難
  2. 兄弟間で現金分割したい — 姉妹で3人相続、不動産のままだと分割しにくい
  3. 相続税の納税資金が必要 — 他の相続財産と合わせて相続税が約1,200万円

判断プロセス

C様は「相続直後に売却すると、取得費加算の特例が使える」と仲介会社から説明を受け、相続開始から3年10ヶ月以内の売却を意識してスケジュールを設計されました。

結果

項目内容
売却価格7,700万円
媒介契約一般媒介(2社)
販売期間約6ヶ月
取得費加算の特例適用(相続税1,200万円の一部を取得費に加算)
譲渡所得税(長期)約180万円(特例適用で約40万円軽減)
手取り約7,400万円(兄弟3人で均等分割)

C様のコメント(想定)

「相続直後は手続きだけで消耗していましたが、仲介会社から『取得費加算の特例は3年10ヶ月が期限』と聞いて動き始めました。期限ギリギリに動くと焦りで判断を誤るので、早めに相談して正解でした。」

学び

  • 相続した収益物件は「取得費加算の特例」で税負担を軽減できる
  • 兄弟間の分割は、現金化が最もトラブルを防ぐ
  • 遠方物件の管理はコストと精神的負担の両面で重い

関連記事:「相続した一棟アパートを売却する流れと税金

ケース4|法人所有の収益物件を売却したD様(50代・中小企業オーナー)

物件概要

項目内容
所在地東京都(都心・駅徒歩5分)
構造RC造6階建て・20戸
築年数20年
取得年12年前(3.5億円で取得・法人所有)
売却時の想定価格3.8億〜4.2億円
法人決算月3月

売却を決めた3つの理由

  1. 本業で大きな損失が発生 — 売却益で損益通算し法人税を圧縮
  2. 減価償却費が小さくなっていた — 節税効果が薄まっていた
  3. 次の収益物件への買い替えを検討 — 買換え特例の活用

判断プロセス

D様は税理士と相談し、3月決算に合わせて2月中の売却決済を目標にスケジュールを設計。さらに、売却後は特定事業用資産の買換え特例を使って新築物件への乗り換えを計画されました。

結果

項目内容
売却価格4.0億円
売却益約1.1億円
本業の損失との通算約6,000万円分を相殺
買換え特例適用(残り部分の80%課税繰延)
実質法人税負担大幅圧縮

D様のコメント(想定)

「法人売却は決算期と絡めて設計しないと、せっかくの節税機会を逃します。本業の損失が出ていた年だからこそ、損益通算で最大の節税効果を取れました。さらに買換え特例で次の物件も取得でき、資産の組み替えが一気に進みました。」

学び

  • 法人売却は決算期との整合性が最重要
  • 本業との損益通算は事前シミュレーションが必須
  • 買換え特例を使えば譲渡益の80%を繰延できる

関連記事:「法人所有の収益物件を売却するベストタイミングは?」「収益物件の買い替え特例完全ガイド

4事例から学ぶ共通ポイント

共通点①「事前の相談・情報収集」が成否を分ける

4人ともに共通しているのは、決断する前に税理士・仲介会社と相談していた点です。独断で動いて後悔するケースは、相談なしで進めたパターンに集中しています。

共通点②「数字で判断する」が鉄則

感覚ではなく、利回り・手取り・税額・将来CFを具体的にシミュレーションしてから決断しています。無料の「事業計画シミュレーター」などを活用し、判断基準を数字で可視化するのがおすすめです。

共通点③「タイミング設計」が利益を変える

ケースタイミング設計
A様減価償却終了+修繕前
B様サブリース減額の折り返し+金利上昇前
C様相続開始から3年10ヶ月以内(取得費加算)
D様本業損失の決算期+買換え前

「いつ売るか」は「いくらで売れるか」と同じくらい重要です。

共通点④「信頼できる仲介会社選び」が手取りを決める

4ケースとも、仲介会社からのアドバイスが決断の背中を押しています。独立系アドバイザーを含め、複数社から意見を聞くことが信頼関係の基礎になります。

関連記事:「一棟売却の不動産会社選び方」「収益物件売却の媒介契約|専任vs一般

まとめ|体験談は「決断の材料」として活用する

ケース状況決め手学び
A様築25年木造・個人減価償却終了+修繕前タイミングの重要性
B様サブリース付き・現役世代金利上昇+契約つき売却契約維持の選択肢
C様相続・遠方取得費加算特例+分割ニーズ期限と特例の活用
D様法人・中小企業オーナー決算期+損益通算+買換え税制設計の威力

体験談はあくまで参考情報であり、あなた自身の状況に完全に当てはまるわけではありません。ただし「こういう判断軸がある」「こういう落とし穴がある」という視点を増やすことには大きな価値があります。

売却を検討されている方は、上記の4パターンと自分の状況を比較しながら、早めに専門家へ相談することをお勧めします。自分の物件が今いくらで売れるか知りたい方は、無料査定から始めましょう。

売却全体の流れは「一棟アパート売却の流れを5ステップで解説」、税金の詳細は「一棟アパート売却にかかる税金と計算方法」、売却失敗の共通パターンは「一棟アパート売却で多い7つの失敗とその回避策」をご参照ください。

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※本記事の4事例はすべて、実際の取引実態を元に業界で典型的なパターンを再構成した想定ケースです。特定の個人・法人を示すものではありません。